職人たちの技の融合
唯一無二のスピーカー
「サイズの変わらんごと焼いてくれ」「焼いてみんば分かるか!?」。千葉平五郎石材の千葉順次さんと水の平焼七代目・岡部信行さん。石工と窯元の共同制作、時には激しい衝突もあった。「私は石屋として、向こうは窯元として意見を言う。どっかでぶつかるんよ」。納得がいかずパリンパリンと割られていく壷…。 「これまでの壷じゃつまらん。音専用の壷を作ろう!って。水の平焼では通常使わん新たな土を選んでもらった。どこの土か?配合は?窯の温度は?そのノウハウは絶対に教えてくれん(笑)」。焼成時の収縮率、釉薬などの問題を解決し完成まで長い時間を要した。壷の次は上部に配置する石皿作り。「音は円すい状に出て一点に集まる。その音の焦点が最もパワーがあるけん、石皿のカーブできれいに分散させるとが重要。7〜8枚作ってあとは自分の耳の感性に頼るのみ」。と千葉さん。 2人の職人が技術を結集させようやく完成。名前はインパクトのある外見に見た人があんぐりするのでは?という遊び心でつけた。そしてもう一つ。 「”あんぐり”は、方言でくらげの意味。見た感じがくらげみたいでしょ」
優しい音色と和の意匠が
癒しへといざなう
「実際聴いてみんば分からん」。千葉さんは自宅の一室を視聴を兼ねたギャラリーとして開放。「スピーカーは無指向性だから360度均等に同じ音質で聴ける。音を皿に反射させとるけん、ダイレクトじゃない。エコー的な効果が加わって音質はソフト」。柔らかな音色がどこからともなく流れ、家庭の一室が癒しの空間に変わる。まさにこれこそが千葉さんの狙いだったという。「家庭の中でもさりげなく石の存在を感じて欲しかった。石屋には墓石のイメージしかなかけん、
その概念を払拭したかった。デザインも斬新で部屋のインテリアにも良かでしょ」今後を尋ねると「音はね…完璧がなかとよ。その時いいな!って思っても半年〜1年経ってくると何か足りないって思ってくる。あんぐりももっとバージョンを上げていきますよ」 岡部さんも同様のようだ。「岡部さんも完成っては思っとらん。スピーカーだけの色を出したいって摸索しよる。天草の海の色…紺碧の色を目指しとるんじゃないかな」。さらなる進化を求めて…2人の探究心に終わりはないようだ。
千葉平五郎石材
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