天草陶石とアクセサリーの
運命的な出逢い
シンプルで上品な輝き、手作りならではの優しい風合いと温もり…。小池喜久子さんのお店はご自身の作品で埋め尽くされ、ギャラリーのように魅入ってしまう。「以前は既製品だけを売っていました。7年前にシルバーオーバーレイという白磁に銀を施す技法を学んでから手作りの魅力にはまって…」。お客さまの評判は上々だったが小さな不満を抱えていた。「白磁は既製のパーツで種類も少なく面白みに欠けていた。それにゼロから作っていないから、胸を張って自分の作品と言えなくて…。でもじっくり見てみたら、天草には天草陶石があるじゃない」「きれい!」小池さんは思わず叫んだ。 窯元の協力を得て天草陶石の粘土を入手し、オリジナルの白磁を焼き上げた。「透き通るような白さで今までの既製品とは全然違う。まさに純白。シルバーとの相性も最高で…もう感動的でした」。天草陶石は世界最高級といわれる陶磁器の材料で、純度が高く濁りがないのが特徴。「大好きなアクセサリーと天草陶石が結びつくなんて」。陶石といえば陶磁器という概念をくつがえす貴重な出逢いだった。
独自の技法で
作風に広がり
しかし、アクセサリーと天草陶石との融合は苦労の連続だった。「白磁を複雑な形にすればするほど焼く時に銀が割れたり、均等に収縮しなかったり…失敗の連続。作りながらコツをつかんで3年くらいは試行錯誤の日々でした。今では失敗は100個に1個くらいかな(笑)」独自の技法を習得してからは作品の幅が一気に広がった。「今はオリジナルガラスと白磁を組み合わせてシルバーでフレーミングするのに夢中。うっとりする程きれい…」。と創作アイデアに目を輝かせる。小池さんは販売の際、必ず天草陶石の歴史を話しているそうだ。「お求めになった方が白磁のアクセサリーを身につけられ、そこから会話が生まれ天草陶石の素晴らしさを語って頂けると思うから」300年以上の歴史があること、日本のダ・ビンチと称される平賀源内に「天下無双の上品」と言わしめたこと、語り尽くせない陶石の歴史をアクセサリーを通して語り伝えていく。小池さんの誇りと心意気を感じた。
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