高級食材のコラボで
画期的な珍味の誕生
「インパクトに欠ける…何か物足りない」。丸健水産の代表・野崎健さんは悩んでいた。からすみを製造する際、ボラの卵の袋が破けたものを”生からすみ”として販売していたが思うように売上が伸びない。「ウニは専門分野。ウニを混ぜたらどうだろう。日本三大珍味の2つを混ぜるなんてロマンがあるじゃないか!」のちに全国水産加工展賞をはじめ、数々の賞を受賞する新しい珍味の発見だった。「天草は1年中ウニが捕れる全国でも珍しい漁場。春先のムラサキウニに始まってアカウニ、バフンウニ、冬場のガンガゼと続きます」。4種で試作を繰り返し、最も相性の良かったバフンウニを混ぜることに。「ウニって不思議ですよね…。そのまま食べて美味しいもの、火を通したり混ぜた方が美味しいもの。それぞれに個性がある」。ブレンドの割合は1対1。素材と素材をぶつけ、お互いが引き立つように気を配った。「どちらかの味が勝っていたら混ぜる意味がない」。パッケージは専門の業者に特注で木樽を依頼。「昔の漁師さんは樽に乗って漁をしていた。そのイメージがあったからね」
銘品には海の恵みと
漁師たちとの絆が息づく
風もなく穏やかな凪の海。丸健水産からすぐの波止場にウニ漁を終えた船が戻ってきた。コンテナには山積みのウニ。「久しぶりに漁に出れたけん、いつもより頑張ったばい」と夫婦で漁を営む福田さん。五和町は船を使った素潜り漁が主流のため天候次第では漁に出られないことも多いという。 「五和沖の海が荒れていたら、隣の苓北の海がある。苓北は浮き輪のチューブで漁を行うから潮の流れや風の影響が少ない。おかげで必ず誰かがウニを持って来てくれる。先代から漁師さんとの繋がりを大事にしてきた。その関係こそがウチの強み。だから仕事ができるんですよ」 値段設定も強みの一つ。「お客さまに『こんなに安いのに、とっても美味しい!』と言っていただくのが一番嬉しい。その言葉があるから、これからもここでしか出来ないこと、丸健だからできることを目指しています」
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